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暁朔による本、ネット小説、文章などの読書記録及びレビュー

今は千年ほど昔@小説家になろう

おすすめ度:★★★★☆

今は千年ほど昔

作者:田村邦夫

 山道を歩いていたら千年昔の関東に来てしまった主人公アキラ。足利荘の屋敷に拾われた彼は戸惑い苦しみながら半年を生き延びたが、アキラにも、平安時代中期の関東平野にもやがて春はやってくる。
 時は摂関時代、国風文化の盛り。地方では律令制の行政官である受領がはばをきかせる一方、武士たちは勢力を拡大し続けていた。田畑は荒廃し、庶民は麻しか着るものが無く、生まれ変わりを信じ、挨拶も敬語も、儀礼は内裏の中にしか無い時代だ。
 平安時代の真ん中の一見平和に見える東国に、波乱の予感がアキラにも感じられるようになる。血と暴力、悪鬼と疫病、風雅と迷信、貧しく不潔な平安の世をアキラは成り上がり生き抜く。

 平安転移知識チート、隠し味もあるよ。

 日本の平安時代に転移してしまった中で、日々の暮らしをどうにかしようともがいてもがいて、なんとか生きていこうとしていくお話。全体の話は面白いのに、口語文の中で会話だけが古語文語調なのが可読性を損なっている。そこを乗り越えられれば楽しめると思う。

 チートものではあるものの、降り掛かってくる物事の悲惨さが一線を画してるように思う。成したことが無かったことにされるのってチートものとしてはなかなか酷な展開……。

 2019年2月17日現在、そろそろ完結しそうなのでおすすめ。

 ……あれ、あの出来事はどうなったんだろう?