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覇王の走狗(いぬ) ~皇華走狗伝 星無き少年と宿命の覇王~@小説家になろう

おすすめ度:★★★★★

覇王の走狗(いぬ) ~皇華走狗伝 星無き少年と宿命の覇王~

作者:喜多村やすは@KEY

中華平原に名を馳せる強国・禍国
十八年前、《覇王》の宿星を持って生まれた皇子・戰は、
柔和な物腰で謀略渦巻く帝室を生き抜いてきた

――同じ時、“ある稀有な才”を持ちながらも戸籍を持たぬ故に人扱いされず書庫に
引き篭もる少年・真は突如、皇帝より大任を命じられる

即ち、皇子・戰の番犬として身を尽くし、彼の初陣を勝利で飾る事

昼行灯の皇子と、地位無き少年が出会う時
世を統べる王を目指す戦いが幕を開ける

幾多の試練にも決して怯まず、中華平原を真は駆ける
覇王の狗(いぬ)として

戦乱の平原を駆ける中華ファンタジー、堂々開幕!


※ 第五回ネット小説大賞受賞作 ※

書籍版タイトルは、【 皇華走狗伝 星無き少年と宿命の覇王 (宝島社文庫様) 】となります

書籍発売にあわせて、タイトルを改題、あらすじ、作者名も変更いたしました

 

 中華風ファンタジー戦記物。宿星というその人物がどのように生きていくのかのさだめのようなものを皆が持つ中で、覇者としての宿を持つ皇子・戰と、宿を持たないという人として扱われない境遇ながらも軍師としての才能を持つ少年・真を中心とした物語。どちらも宿命というものに対してどのように立ち向かっていくのか、あるいは向き合っていくのか。そんな物語。

以下、若干ネタバレありなので、かけらもネタバレが許せない人は上のリンクからさっさと本編を読みに行くとヨロシ。

 

出てくる人物たちがどいつもこいつも人間臭い。そしてどこか熱い。一種の人間讃歌に見える。まったく、面白い。

「戰様、私は――私だって、最初はなから人として扱われたい!」

 読んでいると、物語も佳境に入ったこの真の台詞にグッとくる。これだけひょうひょうと物語を回してきて、最後の最後になってこの叫びなのだ。どれだけ、一体どれだけ己を律してきたのだろう。

あるいは剛国の烈。兄である剛王に狂信的なまでに傾倒し、結果、兄の思いまで曲げてしまっていた。それでも、なかなか割り切れぬ彼の思い。ああ、人間であると思ってしまう。

最終章に入り、そろそろ完結してしまうのかと思うと残念でもあり、楽しみでもあり。一体この作品はどのような結末を迎えるのか。期待である。

 

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