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Unnamed Memory@個人サイト

おすすめ度:★★★★★

Unnamed Memory

作者:藤村 由紀

魔法が当たり前のこの世界において、ここ数百年「魔女の時代」と呼ばれる程に
力ある5人の魔女が存在していた。
彼女たちは圧倒的な力を持ちながら歴史の影に潜み沈黙している。
人を越えた異質であるその力は人々に強く忌まれ、恐怖の対象でもあった。

幼い時に魔女の一人「沈黙の魔女」によって
子供が為せない呪詛をかけられたファルサス国の王子オスカーは
20歳になった時、最強の魔女と呼ばれる「青き月の魔女」ティナーシャの元に解呪を願いに訪れる。
それを切っ掛けに彼女を守護者として連れ帰ったオスカーは
契約が切れるまでの1年間、ティナーシャの過去に関わる因縁に、
そしてもっと大きな運命に巻き込まれて行くこととなる。

これは、彼と彼女の度重なる選択を描く、長い御伽噺である。

取り返しのつかないことがあった後、やり直せる手段を手にしたら?

俺様系王様と頑固系魔女の恋愛物語。といいつつ、かなり重厚なファンタジー世界の序章とも言えるお話。同じ世界観の作品に『Side Stories』、『Babel』等作者のサイトに多数の作品がある。

二人の関係を軸に世界を描いていく手法は見事。巡り巡った運命が行き着くラストが良い。そして他作品にまでどんどんと広がっていく世界観が私の好みに合っている。「もっと読ませてくれ!」となる作品。

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