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カルマの塔@小説家になろう

おすすめ度:★★★★☆

カルマの塔

作者:富士田けやき

 この世は平等ではない。
 グラスになみなみと満ちたぶどう酒を呷る者がいれば、幾度も足踏みされた泥水をすする者もいる。暖かな毛皮に身を包む者もおれば、薄っぺらな襤褸を纏う者もいる。
 この世は幸福ではない。
 生まれた瞬間、人は格差の海に落ちる。金持ちの子、貧乏な子、貴族の子、農夫の子、奴隷の子。奴隷に生れ落ちたが最後、這い上がることを上は良しとしない。
 この世は残酷である。
 誰かの幸せは誰かの不幸せ。一定量の資源(リソース)をめぐり、人は争い、奪い、殺す。生きるとは屍の上で踊ることである。狂え、喰らえ、犯せ、殺せ。
 この世は、地獄である。

 全てを奪われた『白き復讐者』が世界を塗り替える。欲するままに喰らえ、欲するままに犯せ、殺し、奪い、全てを手に入れろ。この物語は底辺に生まれた者がもがきながらも天を目指す悲劇であり喜劇である。世界よ嘆け、世界よ嗤え。白き男はただ欲望の赴くままに業(カルマ)を積み上げるのみ――

 この物語の果てにどれほど高き業(カルマ)の塔が聳えるのか、今は誰にもわからない。

 ※2018/9/13追記

作者が不注意によるアカウント削除を喰らったらしく、小説家になろうから撤退。カクヨムにて再編&連載中。

成り上がり系戦記物語。完結済み。2018年7月18日現在、続編の「カルマの塔【継承篇】」が連載中。英雄と呼ばれるような、個人の才覚に優れた人物がいる中で、それを持たない主人公が彼らを打倒していく。とはいえ、それを為すだけの意志を持ち続けられるという主人公もなかなか常人とは言い難いのだけれども。

果たして主人公が何事かを成し遂げようとする度に捧げられる犠牲はいかばかりか。この作品を読んでいると、「どうしてそこまでできるんだ!」と叫びたくなる。

人が強固な意志を以って何かをしていくというような話が好きならおすすめ。

 

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kakuyomu.jp